第1位 橋本英幸(三重/愛写道,フォトサークル写真人,梅川紀彦写真講座)
【選評】王者の風格が見事に表されています。力強い眼や風になびく羽は、モノクロにすることで形の格好よさが強調されています。光の当たり方や羽の向き、ボケの模様まで無駄がありません。被写体の間や画面端にできる余白は、撮影者の意図や感情で変わります。この作品からは、作者が表現したかったハクトウワシの気高い姿をしっかりと感じることができます。
ニコンD7200・シグマAF18~300ミリ・F6.3・1/250 秒・ISO100・エプソンSC-PX5VⅡ・ピクトリコプロセミグロスペーパー/和歌山県白浜町・8月上旬,14:00頃
第2位 畠中耕治(広島/フォトクラブ虫干)
【選評】糸を登るクモに背景を重ねることで、独特の世界観をつくりだしています。私には背景が北アルプス槍ヶ岳の岩峰に見えました。暗雲が渦巻き、威圧的にそびえ立つ山と、か細い梯子を登る登山者を重ねたコラージュのようで、とても面白いです。クモの位置が下方に寄っていることで、まだまだ険しい道が続いていることを連想します。ひと目見ただけで、物語がパッと広がっていくような作品です。
ニコンD610・タムロンAF90ミリマクロ・F4・1/1000秒・ISO800・キヤノンPIXUS PRO-100・富士フイルム「画彩」プロ/大竹市・12月下旬,11:00頃
第3位 浅井明美(愛知/YKフォトクラブ)
【選評】レッドカーペットを歩く白いドレスのようで、とても優雅な雰囲気です。気品のある赤と黒だけで背景が構成されていて、インパクトがありました。四隅四辺の余白が均等に黒くなることで、紅葉がギュッとまとまり、その形も面白いです。白鳥は白トビ気味でディテールが損なわれているのが少し残念。しかし写真の先にある物語へと、想像が広がる作品です。
ソニーα7RⅢ・FE100~400ミリ・F16・1/1000 秒・ISO500・キヤノンPIXUSPRO-10S・ピクトリコセミグロスペーパー/南アルプス市・11月中旬,11:30頃
第4位 藤岡裕子(千葉/写団狗尾草,自然奏フォト)
【選評】虹色に染まる空と海、青黒い岩礁。全体に不思議な一体感があります。流れていく雲や打ちつける波、雲仙岳の輪郭、岩の模様と、それぞれに描かれた線の雰囲気が似ているのが面白い。特に、山頂から画面上端への距離とグラデーションのバランスがいいです。静と動、鮮やかな色と濃淡だけの変化を見比べているうちに、地球の悠久な風景を見たかのようです。
ソニーα7Ⅱ・FE24~70ミリ・C-PL・F16・1/6秒・ISO100・三脚/宇土市・9月中旬,18:00頃
第5位 渡壁孝雪(愛知/中日写真協会,写遊会ラビット,写楽会寺子屋)
【選評】先を急ぐ黒服の群衆の中、白いドレスで踊っているさまは、まるでバレエダンサー。伸びやかなポーズが高速シャッターによって、美しく写し出されています。真正面のカメラ目線も力強く訴えかけてきます。同じ方向を向いている鵜たちは我先にと混乱しながらも、サギのためのスペースをしっかりと空けているのが、演劇のようで面白いです。上下に均等な余白があり、ステージも整っています。違う性質のものが組み合わさり、不思議な違和感と一体感が生まれ、奥深いストーリーを感じる作品になりました。
キヤノンEOS6D MarkⅡ・シグマAF150~600ミリ・F8・1/2000秒・ISO1600・三脚・キヤノンPIXUS PRO-10S・キヤノン写真用紙光沢ゴールド/刈谷市・11月上旬,6:00頃