第1位 遠井信行(茨城県/全日写連茨城県西支部,小山YPC)

12月号 入選「願いを込めて」

【選評】風鈴祭りの様子です。こちらも多く見られる被写体ですが、一味違った作品に仕上がっています。まず印象的なのが色です。その場の明かりをうまく利用しつつ、ほのかに印象的に光を使うことができています。また構図的には、引けば引くほど平凡になりがちな被写体を、大胆な寄りで柔らかいボケ味を活かした画作りとなっています。風鈴の柄や短冊の文字などが、思い切って寄ることでデザイン化し、画の面白さにつながっています。これら被写体への距離感が画角の定点観測になっており、一本の線としてすべてのカットをつなげ、上手くまとめることができました。

好みの風鈴を選び、短冊に自身の心を写します。涼音と切なる願い、神に届け!
ニコンZ6Ⅱ・AFニッコール60ミリマクロ・①F3.2・1/100秒・ISO2000・8月中旬,18:30頃②F4・1/60秒・ISO6400・8月中旬,18:50頃③F4.5・1/125秒・ISO5000・8月中旬,19:20頃④F4・1/125秒・ISO1800・8月下旬,19:00頃・エプソンSC-PX1V・ピクトラン局紙バライタ/下妻市

 

 

 

第2位 吉川優子(北海道)

12月号 特選「White Love」

【選評】こちらもファンタジーな世界を感じさせる作品でした。さまざまな雪景色のシチュエーションを撮り集めた表現は、1カット1カットに違うドラマが割り振られており、枚数以上の世界観の広がりを感じさせることができたのではないでしょうか。表現としては、徹底して正面からとらえ、平面的な漫画のような感覚で描かれています。登場人物が謎の馬であることも、ユーモラスというよりちょっと不気味で謎めいた世界観になっています。光の使い方も美しく、雪の表現など効果的にストロボが使えています。オチはなくとも4コマ漫画を見ているような楽しさがある作品です。

白馬のラバーマスクを被ったセルフ撮影で、ハッピーエンドのラブストーリーを組み立ててみました。フラッシュで雪を玉ボケにしてメルヘン調にしました。
キヤノンEOS Kiss X5・タムロンAF18〜270ミリ,オリンパスOM-D E-M1 MarkⅡ・12〜100ミリ・①F4.5・10秒・ISO400②F2.8・1/5秒・ISO400③F2.8・1/6秒・ISO100④F4.5・0.8秒・ISO100⑤F4・1/60秒・ISO3200・ストロボ・三脚・エプソンSC-PX7VⅡ・GEKKOレッドラベルプラス/札幌市・12月中旬,19:00頃

 

 

 

第3位 加藤和弘(三重/愛写道)

12月号 入選「盂蘭盆の日」

【選評】3枚構成ながら多くを物語る作品です。儀式を尊ぶ日本の文化が写し出されているような気がします。思い切って寄ることで構図が整理され、単なる記録ではなく印象的なシーンによる「記憶」が表現できているように感じます。光も美しく活かしています。そして、さらに差し色としてに赤が強く効いています。それが画面をキュッと締める役割にもなっているのです。静かながら動きを感じる切り撮りも印象的で、特に手の表情がポイントになっているような気がします。大胆に切り撮られた構図が余計な状況を排除し、必要なドラマだけを抽出しています。

斜光線の使い方に注意し、供養を表現したいと思いました。赤の入れ方、手の表現に悩みました。 ニコンD810・AFニッコール28〜300ミリ・①F7.1・1/5000秒・ISO800②F8・1/160秒・ISO1000③F7.1・1/4000秒・ISO800・エプソンPX-5V・エプソン写真用紙クリスピア/志摩市・8月中旬,17:00頃