【キヤノン EOS R3 新機能・進化点 レビュー】

不可能を可能にする スペックを追求
2018年10月、キヤノンのフルサイズミラーレス「EOS Rシステム」の第1弾「EOS R」が発表されてから、今年で 3年を迎える。その間、小型軽量設計の「EOS RP」、天体撮 影専 用の「 E O S R a 」、連写性能やAF被写体検出機能が大きく向上した「EOS R5/R6」と、モデルを重ねるごとに着実な成長を重ねてきた。
そして今回の「EOS R3」は、「いままでの理想を超える瞬間を手に」をコンセプトとして提唱。今まで撮影できなかったシーンを撮影するためのスペックを追求した、キヤノンの新たなフラッグシップモデルだ。
そんな本機種のスペックについて、それぞれの機能ごとに解説していこう。

撮像素子

約2400万画素 フルサイズCMOSセンサー

ISO感度

ISO100~102400

ファインダー

約576万ドット、倍率約0.76倍

液晶モニター

3.2型、約415万ドット

連写性能

約30コマ/秒(電子シャッター時)

AF測距点

1053点

記録媒体

CFexpress TypeB,SD/SDHC/ SDXCメモリーカード(UHS-II対応)

大きさ

約15(0 幅)╳142.(6 高さ) ╳87.(2 奥行き)ミリ

重さ

約1015グラム

ポイント1 連写性能
メカ・電子シャッター 問わず高速連写を実現
 EOS R3でまず注目すべきは、やはり最高約コマ/秒 (電子シャッター使用時)という連写性能だろう。

1/8000秒の高速シャ
ッターで新幹線を撮
影。電子シャッターの
連写でも、ローリングシャッター歪みのない描写が可能となっている。 EF600ミリ・F4 1/8000秒 ISO1000・WBオート 撮影:山﨑友也

EОS R5/R6(最高約 コマ/秒) を大きく上回る性能ながら、ローリングシャッター歪みを大きく抑制。ブラックアウトフリー の快適な撮影を行える。さらに メカシャッターも最高約 コマ /秒という性能を搭載。より速いコマ速が必要な時は電子シャ ッター、速いシャッター速度を確保したい時はメカシャッター といった具合に使い分けられる。
そのほか、EOSシリーズで は初めてメカ/電子先幕/電子シャッターの全てでストロボ撮影に対応。電子シャッターでもストロボ同調で最速1/180 秒、最高約コマ/秒での撮影が可能となっている。

 

 

 

 

 

走行中の列車に、視線入力AFでピント を合わせて撮影。被写体追尾AFトラッ キングを併用することで、向かってくる 列車にも素早くピントを合わせられる。 EF200~400ミリ・F8・1/500秒・ISO200・WB太陽光 撮影:山﨑友也

ポイント2 視線入力AF
視線を合わせた先にフレーム移動が可能
連写性能に続く大きな特長が、 視線入力AF機能だ。
ファインダーをのぞいて任意 の場所に視線を合わせると、その場所に視線ポインターが表示。 その後確定操作(レリーズボタン半押しまたはボタン操作)をすることでピント位置を決定し、 素早いAFフレームの移動が可能となる。加えて、フレキシブルゾ ーンや被写体追尾AFトラッキングとの組み合わせで、スポーツや
動物など、動き回る被写体の撮影も快適にこなせる。
さらに、EOS R3は「デ ュアルピクセルCMOS AF II」を搭載し、ファインダー内 の縦╳横約100パーセント、 1053点の測距エリアで追従が可能。被写体が端にいて合焦できない……という心配をせず、 視線入力AFを存分に使いこなすことができる。

ポイント3
進化した胴体追従機能
ディープラーニング技術を生かした動体追従機能は、今回さらなる進化を果たした。撮影モ ードはEOS R5/R6まで の「人物」「動物優先」に、新たに
「乗り物優先」が追加。これは主 にモータースポーツでの車・バ イク(フォーミュラカー、ラリ ーカー、オフロードバイクなど) を対象としたもので、被写体の全体だけでなく、ドライバーのヘルメットなどの局所も検出・ 追従が可能。前述の視線入力A Fと合わせて、プロの撮影現場でも大いに力を発揮するだろう。
そのほか 、「 人 」モードではマスクを着用した顔の瞳検出や、ヘルメットなどを着用した人物頭部検出を実現。「動物」モ ードでも犬・猫・鳥の瞳や顔を素早く検出するなど、既存のモ ードの性能も向上している。

ポイント4
新開発電子ビュー ファインダー
視線入力AFをはじめとする EOS R3の機能の要となるのが、約576万ドットの新開発電子ビューファインダー(E V F ) だ 。 fp s / 1 2 0 fp s のフレームレート表示に対応し、連続撮影中のタイムラグ を低減。サイズもEOS R5 /R6から大きくなっており、 光学ファインダーのような快適な見え方を追求している。
さらなる快適さを実現するために搭載された機能が、「OV Fビューアシスト」だ。光学ファインダー(OVF)の見え方をシミュレーションする同機能 は、ハイライトや暗部の見え方が自然になるよう調節。屋外などの明るい撮影シーンでも、E VFがまぶしくなり過ぎないよう適正化してくれる

【そのほかの機能・仕様】

CFexpress・SDカードのデュアルスロット
2種類のカードを同時に挿入可能。約30コマ/秒の連続撮影時も、高速でデータの読み込みを実現している。

 

 

 

バリアングルモニターを搭載
同社のグリップ一体型カメラでは初のバリアングルモニターを採用。
アングルを問わない自在な撮影が可能となっている。