【番外編】

 上野隆さんも連載の中で繰り返し書かれていたようにその人によっての「最高のカメラ」はテーマや目的によって異なるもの。町や旅先でスナップを楽しむことが多い私にとっての「最高のカメラ」は小型軽量モデル。富士フイルムX-Pro3にXF35ミリを付けて、小さな旅に出かけてきました。

陣屋が置かれた港町

  東京駅から電車に揺られること約2時間、今回の目的地は千葉県鋸南町です。中心市街地に近い安房勝山駅で下車します。  勝山地区はかつて江戸時代には安房勝山藩の陣屋が置かれていた場所です。勝山藩は酒井氏が歴代藩主を務め、石高は1万2千石。小藩ですが、譜代大名として藩主は大番頭や大坂加番、奏者番などの役職を歴任してきました。まずはその陣屋があった場所を目指します。港方面へ約5分ほど歩くと港通り商店街が見えてきます。ちなみに商店街の真ん中を通る道路は陣屋の堀址だそうです。港に向かって左手一体が陣屋のあった場所ということなのですが、宅地化されて遺構はほとんど残っていません。わずかに陣屋内に建立されていた稲荷神社や井戸址が往時の面影を伝えています。

陣屋内にあったと伝わる井戸址。蓋がかぶせてあり、中は見えない。特に説明板などは見当たらなかった。

 裏山にはそれよりも前の戦国時代にこの地を治めていた里見水軍の拠点として勝山城が築かれていました。勝山城址へは遊歩道が整備されているのですが、こういう状況というのもあるのでしょう、草が道を覆い歩くにはなかなか厳しい状況。残念ながら途中で断念し、港へ向かいます。古くから天然の良港として栄え、捕鯨も盛んだったという勝山漁港は休日の釣り客が多く見られ、楽しみにしていた漁協直営の食堂は満席。食事を泣く泣く諦め、気持ちを切り替えて漁港の裏手にある大黒山展望台へ登ることに。安房六番札所の長谷寺観音近くの登り口から歩くこと約15分。久しぶりの運動でひざはガクガク……。ようやく到着! と喜んだのもつかの間、展望台は老朽化のために立ち入り禁止。疲れがどっと押し寄せる中、気力を振り絞って下山します。

 行き道では気がつかなかったのですが途中には江戸時代、奉行の不正を訴え、義民として慕われた忍足佐内が投獄されていたという石牢の址が残されていました。

勝山港。背後に見えるのが大黒山展望台。

 

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