第1位 林 邦良(静岡/全日写連御殿場支部)

12月号 入選「水洗」

――河川で発見したとか。
立木 段差でひっかかった便座なんだけど、写真を撮ろうという目で歩いていないと気づかないよね。こういうことがあるから歩いて撮るのがいいんだよね。
――コードまで繋がっていて、どこから来たのか……。
立木 このU型の便座ってのは便器が小さかった時代に男性の事情でこうなったらしいけど、いまは大きな便器になったのでO型が主流。古い家で使われていたものかなと想像できる。近年は大雨なんかも多いから、捨てられていたものが流れたのかと思うと、ゴミ問題なんかもクローズアップされるね。

ニコンD610
AFニッコール28~300ミリ
F5.6・1/500秒・ISO400
エプソンSC-PX1V
ピクトリコプロセミグロスペーパー
御殿場市・11月上旬,11:00頃

 

 

 

2位 中原秀夫(岡山/吉備路写真クラブ)

3月号 推薦「囚われ」

――透明人間に網で捕らわれているように見えたそうです。
立木 子どもは遊びの天才なんだよ。大人があれはダメ、これはダメというけど、規制緩和したらいいのに。自分だって子どもだったのにその時のことは忘れている(笑)。
――確かにそうですね……。
立木 言ってみれば、何でもない光景だよ。それを面白がれるかどうかが写真に影響してくるわけ。透明人間を感じたことで生まれた写真だね。惜しいのは子どもに重なったバイク。黒澤明監督の現場に行くと、役者の重なりを極端に嫌う。これもそうだね。主役が十分強いから、横にあっても気にならない。もう少し左から撮れば完璧だった。でも、そんな細かいことを超えて、惹かれる力がある!

ニコンD700
AFニッコール28~300ミリ
プログラムオート・ISO1600
玉野市・10月中旬,10:00頃

 

 

 

第3位 岡本早苗(徳島/渭東クラブ,NEO)

11月号 入選「挑発」

――放し飼いにされている山羊のようです。
立木 このタイミングで撮れたことがすべてだよね。驚きを与える写真。沖縄らしさもあって実にいいよ。
――手足のカタチも面白いですよね。
立木 表情だっていいじゃない。哲学的というか、カメラマンに批判的なのか(笑)。肉眼ではこう見えてはいなかったと思うけど、露出やプリント仕上げで工夫したことで、光の良さを強調することができている。山羊を白飛びさせず質感が伝わってくるのも非日常の空間でありながら、リアル感を与える力がある。

ニコンD750
AFニッコール28~300ミリ
プログラムオート
エプソンSC-PX1V
ピクトリコシルバーラベルプラス
沖縄市・1月下旬,17:00頃市・6月上旬,14:00頃