世界の水辺の街を染めるまがとき

街は必ず水のあるところで盛える。海や川岸ギリギリまで建物が建てられていたり、娯楽や観光のための水と街、という計算された街並みもある。水辺の街では、その土地の風土や文化を感じることができる。
 水を利用した撮影では、歴史や生活、環境などを読み取る表現を考える。水は文化を表すのに大きな存在感を持っている。

 

ポルトフィーノ/イタリア

ここは限られた人たちのための街。この地に船で入ることが許されるのは世界でも有数の富豪のみ。当然私は、路線バスを乗り継いで訪れた。

ヴェネツィア/イタリア

観光客でにぎわうヴェネツィアも、夜になると昼間の喧騒が嘘のように静まってくる。ゴンドリエーレは仕事を終え、水際の桟橋にゴンドラを休ませる。漕ぎ手たちは疲れた身体を癒すために、グラッパを嗜み夜のヴェネツィアを過ごしていることだろう。

 

バラナシ/インド

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
母なるガンガーの東岸は神の聖域。欲と罪に汚れた人類は立ち入ることが許されない。その聖域から登る太陽は、神だ。夜明け前のガンガーは、美しく妖艶に、祈りを捧げる人類を包み込むかのように赤く染まる。

 

マリーナ・ベイ/シンガポール 

 
 
 
川面に映る明かりが印象的。高いビルが多いのでなるべく見上げないような構図にするため、水面を多く取り入れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


世界のまがとき、カメラ旅 著:藤村大介 1300+税

《書籍の紹介》
行ってみたくなる、撮ってみたくなる美しい【世界の夜景】が1冊に! 
世界500都市以上を取材した写真家・藤村大介が厳選。
国内ガイドや撮影のヒントも掲載されています。

 

 


profile
藤村 大介(ふじむら・だいすけ)
1970年、香川県琴平町生まれ。日本写真芸術専門学校卒。アシスタント時代より世界各地を取材し、世界遺産や世界の夜景、名所、旧跡等を撮影。取材先は500都市を超える。ライフワークとして四半世紀にわたり撮影している“世界の夜景”は世界でも有数の独創的な夜景を撮影する写真家として有名。2018年、香川県坂出市民美術館にて国内最大となる世界の夜景の個展を開催。写真業界に大きな話題と共に衝撃を与えた。近年は欧米など、海外でも作品が展示され評価も高い。作品の創作に力を注ぐ傍ら、日本の写真文化発展のために尽力を注いでいる。特に高校生向けに全国で講演やセミナーを開催し、将来に向けた写真文化の発展活動を行っている。