第1位 喜舎場和広(愛知)

3月号 推薦 「祭り人」

[選評]祭りの写真は応募が多く食傷ぎみでしたが、視覚的な飽きを忘れさせる凛とした美しさに心揺さぶられました。ライティングが絶妙です。人物の顔をほんの少しだけ見せることで、ミステリアスな気配を醸し出すことに成功しています。奇をてらわず、正面からストレートに撮る思い切りもいい。「シンプル・イズ・グッド」のお手本として推薦にしました。(渋谷敦志先生)
ニコンD810・タムロンAF28~300ミリ・F9・1/640秒・ISO400・エプソンSC-PX5VⅡ・松本洋紙店絹目調/郡上市・4月下旬,9:00頃

 

 

 

2位 時津伸一(愛知)

8月号 推薦 「さかなや」

【選評】平凡な、なんでもない日常がありがたい。そう思えるのはコロナウイルスの災厄を経験しているからでしょう。街のありふれた風景で、撮った場所は古い木造家屋にある魚屋。そこに主役を張る人物がいるわけではありません。アングルやフレーミングもシンプルで、ドラマチックなことも起きてはいませんが、それでもごく普通の人間が、それぞれの日常を生きていることを想像させてくれるような何かが写っていると思いました。少々感傷が過ぎたかもしれませんが、これも時代がそうさせたのでしょう。(渋谷敦志先生)
ソニーα9・FE24~240ミリ・F11・1/250秒・ISO1600・エプソンSC-PX5VⅡ・エプソン写真用紙クリスピア/愛知県南知多町・7月下旬,15:00頃

 

 

 

第3位 岡 祐子(岡山/吉備路写真クラブ)

9月号 推薦「 女友達」

【選評】3人の仲のよさそうな女性が写る何気ない一枚ですが、落ち着いて見ていられるのは構図がよいからです。この作品を縦横それぞれ3分割して線引きし、4つの交点を想像してみると、その一つに主役の人物の顔が配置され、大きな存在感で写っています。そして別の人物を別の交点付近に小さめに写して対比させることで、奥行きとリズムが生まれているのです。「3」という数字は、写真を上達させるマジックナンバーですので、意識してみてください。(渋谷敦志先生)
ニコンZ 6・ニッコールZ 24~70ミリ・F4・1/2500秒・ISO200・エプソン  EP-10VA・エプソン写真用紙クリスピア/香川県小豆島町・10月下旬,17:00頃

 

 

 

第4位 藤下光政(愛知/浜松写友会/ニッコールきらり東海道支部)

4月号 特選「散歩道」

【選評】タイトルと画面内の登場人物の行動は平凡ですが、それに反して背景に写った山肌は非凡で実に迫力があります。山の部分を観察すると切り刻まれた部分は、他の樹木の部分とは全く違う様相を見せていて、この部分にスポットライトが当たっているかのように強調されています。画面内の横線と真っ直ぐに伸びる小道の縦線との構図が安定していて、より背景が目立つのですね。(ハービー・山口先生)
ニコンD810・AFニッコール28~300ミリ・プログラムオート・ISO1000・エプソンPX-5V・コクヨ写真用紙高光沢厚手/豊橋市・3月中旬,8:00頃

 

 

 

第5位 増田哲子(福岡/写友会弥生)

10月号 特選「風の回廊」

【選評】若い僧侶の表情が、自然かつ生き生きとしているのが印象的です。スナップとしての撮影ですが、この表情をとらえたことで魅力的なポートレートになっています。おそらく作者は相手と正面から対峙し、お互いが人間性のやり取りを感じながらの撮影だったのでしょう。撮る側と撮られる側の意思疎通があってこその結果だと思いますし、人物撮影にはこのコミュニケーションが何よりも大切です。(ハービー・山口先生)
ソニーα9・FE24~70ミリ・F2.8・1/200秒・ISO3200/ブータン・6月上旬,14:00頃