1月号 金賞「うごいた!」土屋由美子(静岡)

1月号「うごいた!」土屋由美子(静岡)

【選評】ドラマチックな瞬間を、良い光とシャッターチャンスでとらえた一枚です。語りすぎないタイトルも素敵ですね。欲を言えばお父さんの顔が見たかったですが、お兄ちゃんになる我が子へ視線を注いでいるようにも見えるので、決してマイナスポイントではありません。ただ、被写体にやや寄りながら広角レンズを使用しているため、お父さんの頭がパースで強調されているのが気になるので、的確なフレーミングを心がけましょう
ニコンD750・シグマAF20ミリ・F8・1/250 秒・ISO900・エプソンEP-10VA・エプソン写真用紙絹目調/掛川市・8月中旬,10:00頃

 

 

 

2月号 「ハレの日」今永謙二(三重/キヤノンフォトクラブ大阪)

2月号「ハレの日」今永謙二(三重)

【選評】いい天気、いい瞬間、素晴らしき秋の日。そんな言葉が瞬時に頭をよぎりました。新郎さんの笑顔が素敵ですし、ヒガンバナを入れ込んだ構図も見事です。最後尾には頭を抱えているような男性がいますが、もしかして新婦のお父さんでしょうか? 真偽はさておき、さまざまな想像ができる楽しい一枚でした。全体的によくまとまっていますが、画面真ん中のヒガンバナの数など、もう少しインパクトを出せればさらに良くなると思います。
キヤノンEOS6D・EF24~105ミリ・F16・1/750秒・ISO800・キヤノンPIXUS PRO-100・キヤノン写真用紙光沢プロ/半田市・9月下旬,16:00頃

 

 

 

3月号 「銀河鉄道」大井祥朗(香川/キヤノンフォトクラブR高松)

3月号「銀河鉄道」大井祥朗(香川)

【選評】見事な瞬間と、センスが光るフレーミングに感動しました。車両を全部入れなかったことで、実際には停車している列車が走り去っていくようにも感じ、臨場感につながっています。花火を見る乗客がシルエットになっているのもロマンがあり、立っている人が非常に良いアクセントですね。強いて言うなら、花火のボリュームと列車の位置が左に寄っているので、左右に散らしても良かったと感じました。
キヤノンEOS R・RF24~105ミリ・F9・22秒・ISO100・三脚・キヤノンPIXUS PRO-100S・キヤノン写真用紙光沢ゴールド/四万十市・8月下旬,21:00頃

 

 

 

4月号 「夕景の公園」三谷原 篤
(岡山/フォトグループING)

4月号「夕景の公園」三谷原 篤(岡山)

【選評】あとわずかで落ちそうな夕日、その赤い光の中で元気に逆立ちする女の子の様子に、かつて公園で駆けた寒い日を思い出しました。画面から現場の空気を色濃く感じ、冷気の香りさえ感じる臨場感に魅了されます。通常、外したくなる電柱を堂々と入れ込んだことで、リアリティの表現につながっていますね。人物が若干見えづらい露出なのが惜しいので、もう少しシャドー部を明るくしても良いでしょう。
ニコンD5・AFニッコール70~200ミリ・F7.1・1/640秒・ISO400/倉敷市・12月上旬,17:00頃

 

 

 

5月号 「宇宙からの眺め」河本順子(広島/カメカメ写真クラブ,中国新聞写真クラブ福山東支部)

5月号「宇宙からの眺め」河本順子(広島)

【選評】一体どういう状態なのでしょう? まさか本物の地球ではないことはわかりましたが、非常に楽しい作品で引きつけられました。タイトルも素敵なセンスですね。空を泳ぐこいのぼりだけでも不思議な光景ですが、そこに地球を入れ込んだユーモアが素晴らしく、全体のテーマがしっかりしている一枚でした。やや暗めのトーンなので、空の白飛びに注意しつつ、若干明るく仕上げても良かったでしょう。
キヤノンEOS7D・タムロンAF16~300ミリ・F5.6・1/500秒・ISO100・キヤノンPIXUSPRO-100・富士フイルム「画彩」プロ/佐賀市・11月上旬,9:00頃

 

 

 

6月号 「パン食い競争」古屋 治(長野/楽々写真会)

6月号「パン食い競争」古屋 治(長野)

【選評】一生懸命に首を伸ばしてパンに食らいつく様子が生々しく描かれている一枚です。表情をあえて隠したことで、見る人の想像力を掻き立て、作品に奥深さを与えています。表情が見えていたら平凡になってしまった気がするので、素晴らしい選択だと感じました。若干構図に窮屈さはあるものの、これも見方を変えれば必死さを伝える隠し味になっています。
ニコンD850・AFニッコール70~200ミリ・F7.1・1/2500秒・ISO400・エプソンSC-PX7VⅡ・エプソン写真用紙クリスピア/茅野市・9月下旬,10:00頃

 

 

 

7月号「通学路」藤村ひろ子(岩手/フォトクラブ フレンズ)

7月号「通学路」藤村ひろ子(岩手)

【選評】とても心地よい一枚でした。構図のセオリーから考えると、桜と対角線上に女性を配置したくなりますが、それでは平凡な仕上がりになってしまったでしょう。木の陰影を楽しみながら自転車を漕ぐ姿に感情移入できますし、前に開いた空間からは、これから彼女を待つ未来の可能性を感じます。改善点を挙げるならば、もう少しだけ桜を画面内に入れ込んでもよかったでしょう。
キヤノンEOS5D MarkⅣ・EF24~105ミリ・F8・1/800秒・ISO500・エプソンSC-PX5VⅡ・エプソン写真用紙クリスピア/盛岡市・4月下旬,15:30頃

 

 

 

8月号 「つなぐ」奥村誠子(京都/「彩」)

8月号「つなぐ」奥村誠子(京都)

【選評】1枚の中に、たくさんの「つなぐ」を見つけるこ
とができました。多く寄せられる水族館での作品の中でも、圧倒的な深さを感じた作品です。生物とのつながり、友情、愛情、未来……そんなことを考えながらじっくりと鑑賞させてもらいました。タイトルもよいバランスで、シンプルな画づくりと調和しています。今後もぜひシチュエーションに依存しない、「意味」を求める撮影を続けてください。
キヤノンEOS R・EF-S18~135ミリ・F5.6・1/320秒・ISO800・三脚・キヤノンPIXUS TS8130・キヤノン写真用紙絹目調/名古屋市・10月下旬,12:00頃

 

 

 

9月号 「ゲリラ豪雨のお土産」城戸千代子(神奈川/UPs)

9月号「ゲリラ豪雨のお土産」城戸千代子(神奈川)

【選評】構図の完成度に少し荒さが残りますが、それが臨場感につながっています。雨上がりのダブルレインボーに、毎年我々の生活に大きな被害を出す豪雨のあとの希望などを感じることができました。一緒に走る2人をモチーフにしたのも力強さや軽やかさが伝わります。一方、タイトルがやや長いのと、ゲリラという単語が強すぎるので、ほかの言葉を選んでもよかったでしょう。
ニコンD850・AFニッコール28~300ミリ・F8・1/3000秒・ISO400・エプソンPX-5V・ピクトリコGEKKOブルーラベル/茅ヶ崎市・4月中旬,17:00頃

 

 

 

10月号 「ジャンプ」島尻るりこ(愛知/UCSCフォトクラブ)

10月号「ジャンプ」島尻るりこ(愛知)

【選評】2人の表情、シャッターのタイミング、そして空。あらゆる要素のバランスが的確で、ストレートにテーマが伝わってくる作品でした。単純な画ではありますが、それだけに混じり気のない清々しさを感じます。あれこれとドラマチックな画や構成をねらいがちな昨今ですが、こうした「素敵な写真」の原点ともいえる一枚に心が安らかになりました。2人と島尻さんのコミュニケーションも温かそうですね。
キヤノンEOS7D MarkⅡ・EF-S18~135ミリ・F6.3・1/1000秒・ISO100・エプソンEP-10VA・エプソン写真用紙クリスピア/愛知県南知多町・6月下旬,16:00頃

 

 

 

11月号 「のぞきみ」長野慶子(三重/愛写道,写心気)

11月号「のぞきみ」長野慶子(三重)

【選評】ていねいに目の前の空間を読み取りつつ、楽しんで撮影している長野さんの表情が想像できる作品でした。構図が若干ギリギリではあるものの、2人の間にある空間から男の子の心情を感じることができます。「すごく興味を惹かれるわけではないけど、なんだか気になる」といった様子の表情も素敵ですね。空間と表情、いずれの要素も大切にしながら撮影していると感じました。
ニコンD7000・AFニッコール10~24ミリ・F5.6・1/200 秒・ISO1600・キヤノンPIXUS PRO-100・キヤノン写真用紙絹目調/豊橋市・4月上旬,13:00頃

 

 

 

12月号 「冷え~」大野賀代子(愛媛/愛媛YPC)

12月号「冷え~」大野賀代子(愛媛)

【選評】これ以上やりすぎると違和感が生まれるギリギリまで整えたプリントに感動しました。今までたくさんのプリント作品を見て勉強してきたのだなと感じます。写真という瞬間を写し止めるメディアの魅力が全面に出ていて、今にも2人の声が聞こえてきそうですね。大野さんもきっと楽しんで撮影をしていたのでしょう。優しく、そして確かな技術力で見る人に感動を伝えてくれる作品です。
ニコンD850・AFニッコール14~24ミリ・F8・1/2000 秒・ISO800・エプソンSC-PX5VⅡ・エプソン写真用紙クリスピア/松山市・8月上旬,16:00頃