第1位 時津伸一(愛知)

3月号 特選「泣き相撲」

【選評】子どもの健やかな成長を祈願する「泣き相撲」は各地で催行され、写真愛好家にも人気のモチーフで、コンテストの応募も多い。この作品は岡崎の上地八幡宮と思われるが、望遠スナップで一瞬の表情を上手く切り撮っていて、人物配置もよく、プリントの仕上げも好感が持てる。幼児の元気な泣き声が画面から聞こえてきそうな臨場感が決め手。この二人の赤ちゃんは、きっと健やかに育つことであろう。

変顔の行司の顔を見て赤ちゃんは大泣きです。
ソニーα9・AF70〜400ミリ・F11・1/1000秒・ISO8000・エプソンSC-PX5VⅡ・エプソン写真用紙クリスピア/岡崎市・7月中旬,11:00頃

 

 

 

2位 皆川春奈(愛媛/ニッコールクラブ南予支部)

6月号 入選「Carry Man」

【選評】強い陽射しの中、布団を担いだ人物をとっさにスナップした作品だが、被写体と出会った瞬間を慌てずに落ち着いて撮影できたのは、作者の豊富な経験によるものと推察。歩道の強い影が、画面の中で大きなポイントになっており、奥の商店街を行き交う人物も適度な脇役となって主役を引き立てている。情景やレタッチの仕上げからどこか懐かしさを感じる作品だった。

商店街を歩いていたら突然目の前に大きな布団が横切りました。面白いと思ってとっさにシャッターボタンを押しました。
ニコンD750・AFニッコール24〜120ミリ・F8オート・ISO400/松山市・6月中旬,13:00頃

 

 

 

第3位 岡本早苗(徳島/渭東クラブ,NEO)

11月号 入選「再利用しようかな」

【選評】この作品の一番の決め手は、やはりおばあちゃんの笑顔ですね。人を多少は笑わせることができても、このように目がなくなるほど人を笑わせられるのも一種の才能だと思います。残念なのは、鯉のぼりが何を意味しているのか、一見しただけではわかりにくいことです。茶摘みの袋として再利用されることが伺えるものが画面のどこかにあると、直感的に理解しやすい作品になると思います。

古い鯉のぼりをリフォームして茶摘みの袋にしていました。物を捨てずに何かに使おうと工夫している姿に力強いものを感じました。
ニコンD750・AFニッコール16〜35ミリ・プログラムオート・ISO800・エプソンSC-PX1V・ピクトリコセミグロスペーパー/美馬市・5月中旬,9:00頃

 

 

 

第4位 増田哲子(福岡/写友会弥生)

6月号 入選「晴れの日」

【選評】七五三という絵にかいたような家族の「晴れの日」のスナップ作品。男性の演出っぽい仕草が少し気にはなるが、背景の拝殿や大輪の菊が脇役となり、家族の喜びの瞬間を十分に表現された家族写真といえる。「コロナ退治に取り組みましょう」の文字情報を正面に入れることで、コロナ禍である現実を明確にし、単なる記念写真の枠組みを超えることに成功している。

孫の七五三。亡き父の羽織袴を着た夫。孫の健やかな成長を願いました。
ソニーα9・FE24〜70ミリ・F2.8・1/250秒・ISO800/玉名市・11月上旬,15:00頃

 

 

 

第5位 中原秀夫(岡山/吉備路写真クラブ)

4月号 特選「老夫婦」

【選評】欧米では老いも若きも、カップルがごくごく自然に手をつなぐ習慣が根付いていますが、見るからに年輪を感じさせる二人の手を見つめているだけで、このカップルが辿った歳月に想像力をかき立てられます。強く握った女性にリードされている二人の関係性もうかがえますが、その男性側の袖口に、よく見ると食べこぼしたに違いないご飯粒が付着しており、老いを生きる実感がこもっています。

つないだ手と手、力強く握られています。ほのぼのとした優しさを感じました。
ニコンD700・AFニッコール28〜300ミリ・プログラムオート・ISO1600/岡山市・10月上旬,9:00頃