1月号 「泡風呂」鈴木ヨシオ(静岡/ニッコールクラブ)

1月号「泡風呂」鈴木ヨシオ(静岡)

【選評】見た瞬間に笑いを誘う楽しい写真です。お風呂で遊ぶ様子が自然体で、そこにカメラが介在していないように感じるのがいいですね。泡でつくったアフロヘアもいい形。ゴーグルをつけ、口元から楽しそうな様子がわかる兄弟のシャッターチャンスも最高です。人物の位置がやや中心に来ていますが、お風呂の縁が斜めなので、絶妙にラフなバランスとなっています。状況から何かを想像させるタイトルにしていたら、より一層楽しめるでしょう。

頭に泡を乗せ、女優ぶる孫娘と弟。おもしろく、 念になると思い写しました。
富士フイルムX-E3・XF18~55ミリ・F4.5オート・ISO1600・エプソンPX-5V・ピクトリコフォトペーパー/磐田市・3月中旬,18:00頃

 

 

 

2月号 「狙い撃ち」奥村誠子(京都/写真家川村高弘写真クラブ「彩」)

2月号「狙い撃ち」奥村誠子(京都)

【選評】白色を基調にした気品のあるスナップですね。シンプルな構図によって色と形が引き立ち、螺旋階段のラインと、流れるような大きなカーブが目を引きました。帽子を起点に、見る側の目線を下の方へ誘導する構図が素晴らしいです。シャッタースピードはやや遅めですが、被写体が動かなかったのでブレもなく成功しています。ここで2人は何を撮ろうとしていたのかと興味が湧き、奥村さんの視点とリンクする魅力があります。

麦わら帽子を被った2人。 段を上ってくる人を並んで狙い撃ちしているように見えました。
キヤノンEOS R・EF-S10~20ミリ・F4.5・1/40秒・ISO200・キヤノンPIXUS TS-8130・キヤノン写真用紙光沢ゴールド/京都市・9月下旬,12:00頃

 

 

 

3月号 「ポニーテール」羽根田幸男(兵庫・コウベ写真研究会)

3月号「ポニーテール」羽根田幸男(兵庫)

【選評】黒い背景に跳ね上がる尾の動きや、流れる毛の艶が美しい。凛とした描写に目を奪われました。明暗差の大きいロケーションですが、光をよく見て選んだ撮影ポジションや、シャッタータイミングが的確です。羽根田さんの瞬発力と集中力が発揮され、一瞬の出来事を特別なものにしています。表現したい印象に合わせた露出や構図のセンスも抜群。肌に落ちる影から、自然の気配を感じられるのもいいですね。

長いを束ねたような尻尾の形。光を受けた色ときらめき、一瞬の美しい動きに感動しました。
ニコンD810・AFニッコール28~300ミリ・F9・1/500 秒・ISO400・キヤノンPIXUS PRO-100S・富士フイルム「画彩」プロ/三木市・10月下旬,10:00頃

 

 

 

4月号 「だるまさんがころんだ」加藤泰典(大阪/豊能町写真部)

4月号「だるまさんがころんだ」加藤泰典(大阪)

【選評】スローモーションで動いていくような表現がユニークです。「だるまさんがころんだ」をスローシャッターで写したアイデアが秀逸。それぞれの動きに変化があり、見ているとワクワクする楽しさがあります。振り向いた子と動く子のブレ感が対照的で不思議な魅力となり、木漏れ日も導線のようで動きを軽やかに感じさせます。もう少し露出を明るくして、光り輝く中で遊ぶ印象を強調しても雰囲気に合いそうです。

公園で休憩していると、近所の幼稚園から来た子どもたちが楽しそうに遊んでいました。その囲気を写したくて、スローシャッターで撮影しました。
キヤノンEOS Kiss7・EF24~105ミリ・C-PL・F22・1/15秒・ISO100・キヤノンPIXUS MG7530F・キヤノン写真用紙光沢プラチナグレード/出雲市・5月中旬,13:00頃

 

 

 

5月号 「ステップ」大井祥朗(香川/キヤノンフォトクラブR高松,大津佳子写真教室)

5月号「ステップ」大井祥朗(香川)

【選評】リズムを感じる瞬間をねらったタイミングがパーフェクト。ダンスシーンの足だけをとらえた視点がいいですね。男女の足がスローモーションで変化するような描写や、床に反射したステップの痕跡、残像のように流れた色がさらに印象を深め、独特の雰囲気が漂っています。 色と紫色の補色がドラマティックに感じられ、キレのある緊張感と、優美なしなやかさが表現できています。

アルゼンチンタンゴを踊る男女。二人の足元をスローシャッターで撮りました。
キヤノンEOS R・RF24~240ミリ・F5.6・1/4秒・ISO800・三脚・キヤノンPIXUS PRO-100S・キヤノン写真用紙光沢ゴールド/高松市・12月上旬,19:00頃

 

 

 

6月号 「我慢の時間」島袋悠紀(沖縄/やんばる自然塾写真クラブ)

6月号「我慢の時間」島袋悠紀(沖縄)

【選評】バースデーケーキを中心に子どもたちの顔が画面いっぱいに並び、それぞれの表情や仕草に惹きつけられます。何となく微妙な様子ですが、タイトルを見ると「我慢の時間」。お祝いの歌で待たされているタイミングとわかり、温かく微笑ましい光景がより濃く感じられました。フラッシュを使わず、キャンドルの光だけで撮影したことで臨場感が出ています。手拍子を入れたアングルも絶妙で、皆で囲んでいる様子が想像できます。

誕生日の歌を歌い終わるまで、ろうそくを消すのを我慢している娘たちの表情が愛しくて撮りました。
ニコンD3200・AFニッコール18~55ミリ・F5.3・1/25 秒・ISO400・キヤノンPIXUS iP8730・キヤノン写真用紙光沢ゴールド/沖縄県東村・1月下旬,19:00

 

 

 

7月号 「里帰り」藤身友子(香川/フォトクラブ香川)

7月号「里帰り」藤身友子(香川)

【選評】猫とアクリルに写り込んでいる風景から、まるで宇宙飛行士が帰還したようなストーリーが浮かびました。猫が見つめる先に遠い地球を想像させる壮大なスケール感、反射や丸い形状を生かした構図、そして猫と風景のバランスが絶妙で、球体の周りを入れずに想像させるアイデアが成功していますね。人物が写っていなければより完成度が高まったと思いますが、ドラマチックなインパクトが出ています。

携帯用カプセルの中に猫がいて、桜も写っていたので、よいシーンだと思い撮らせてもらいました。
ニコンD750・AFニッコール18~300ミリ・F10・1/500秒・ISO400・エプソンEP-50V・エプソン写真用紙クリスピア/高松市・3月下旬,13:00

 

 

 

8月号 「春の楽しみ」宮城 徹(千葉)

8月号「春の楽しみ」宮城 徹(千葉)

【選評】タンポポの綿毛が風に舞う描写が軽やかですね。景の大きなボケや玉ボケが美しく、シャドー部分に浮かぶ綿毛も印象的です。シャッター速度は1/125秒ですが、まるでスローシャッターのようなブレになっており、作品の魅力につながりました。表情は見えませんが、子どもが真剣に吹いている気配を想像できる構図やアングルもよく、伝えたいポイントとその関係性をシンプルに表現されています。

綿毛の動きが出るように、景とシャッター度を意識して撮りました。
ソニーα6400・FE55~210ミリ・F8・1/125秒・ISO800・エプソンEP-806AW・ナカバヤシつやのある超厚手印画紙/船橋市・4月下旬, 11:00頃

 

 

 

9月号 「撮影はじめるよ」村上弥生(大阪/キヤノンフォトクラブ大阪)

9月号「撮影はじめるよ」村上弥生(大阪)

【選評】背景にある小さいのころから使っていたと思われる椅子と、横切る少女に成長を感じるスナップです。縦位置構図で背の高さも強調でき、静と動の重なりや、呼びかけるようなタイトルに臨場感もあります。記念写真を撮ろうとしたら動き出したということですが、シャッタースピードが遅いおかげでブレ感が良い描写となっています。ここでシャッターを押せるセンスが抜群で、スナップの面白さが詰まった作品です。

娘の誕生日写真を撮ろうとしたのに、急に動き出しました。面白いのでそのままシャッターを切ってみました。
キヤノンEOS R・RF24~105ミリ・F4・1/20秒・ISO3200・三 ・キヤノンPIXUS PRO-100S・キヤノン写真用紙光沢プロ/寝屋川市・5月上旬,10:00頃

 

 

 

10月号 「緑の幻影」岩下 洋(埼玉/入間市シニア写真クラブ)

10月号「緑の幻影」岩下 洋(埼玉)

【選評】水面に周りの木々が映りこんで揺らいだ描写が美しく、澄み切った空気が伝わりますね。全体がグリーンの輝きに満ちてスケール感のある光景に引き込まれます。ダイナミックな構図と釣り人の存在が大自然との対比にもなり、人物が引き立つアングルによって、より一層魅力ある描写につながっています。光と色で表現するセンスが抜群で、まぶしい緑の中でりをする情景に憧れているような視点もあり、とても清々しい時間が流れています。

湖の映り込みを大きく取り入れ、虚実が混在するように望遠で撮りました。
ニコンD7500・AFニッコール200~500ミリ・F7.1・1/400秒・ISO800・エプソンSC-PX1V・エプソン写真用紙クリスピア/東京都奥多摩町・6月上旬,7:00頃

 

 

 

11月号 「おいしいね」 芋川洋行(長野)

11月号「おいしいね」 芋川洋行(長野)

【選評】2人が仲よくスイカを持っている様子がほほえましいです。部屋の暗がりに人物が 際立ち、目線が引きつけられます。よく見ると足元は長靴で、これから一緒に作業することも想像できますね。写真に写っている先の時間まで表現できています。会話をしながら笑顔のある瞬間を自然体でとらえたシャッタータイミングも最適です。タイトルも素晴らしく、楽しい夏休みを思い出すような空気に満ちています。

見つめ合って、楽しそうにお話をしていて、上手く雰囲気が出ていると思います。
キヤノンEOS kiss X7i ・EF-S55〜250ミリ・プログラムオート・ISO800/長野県栄村・7月中旬,13:00頃

 

 

 

12月号 「挑戦」雨宮隆一(東京)

12月号「挑戦」雨宮隆一(東京)

【選評】ロープを握って上を目指している子どもと、下から支える大人の目線がひとつになった瞬間の躍動感! 対角線上に向かう目線と、三角形になったロープと手の位置が効果的で、力強い勢いが増し、構図の先に広がる様子を想像させます。子どもの口元からも楽しそうな様子が感じられ、優しい光によって幸せな空気感も伝わります。

木登りを手伝っている姿を印象的に収めるために、中望遠の単焦点レンズで撮影しました。
ニコンD4・AFニッコール85ミリ・F1.8・1/1600秒・ISO400/甲州市・8月上旬,14:00頃