第1位 浅田よしつぐ(静岡)

11月号 「山の作業場」

――籾殻を焼く作業場です。
立木 秋になって籾殻の山を燃やして煙が立つ光景っていいんだよな。それも夕方だったら風情がさらに高まる。ある種の幸せの象徴だと思う。……けど、今は廃棄物の処理及び正装に関する法律があって、籾殻は燃やしてはダメだとか。
――なんでも規制される時代ですね。
立木 野焼きだって禁止され、簡単には燃やせない。活用する術がないと産業廃棄物として処理にお金が掛かる。今回は、見た目の面白さの中に密かに社会問題を含んでいて、写真を撮ることの意義を考えるきっかけになりそう。

第2位 中道ちあき(和歌山)

10月号 「抜け道」

――神事の様子が人垣で見えず、生け垣の間から分け入っていく姿だとか。
立木 そこまでしても見たいものがあるんだろうね。右足が浮いている瞬間は動きを加えてくれたし、周囲を焼き込んだことで、どこか別の空間への入り口にも見えてくる。
――プリント仕上げもいいですね。
立木 プリント仕上げも技術のひとつです。最後までおろそかにしないこと。怪しい人をカメラマンが追いかけているところを想像するともっと怪しい感じだから、堂々と撮ることだね。

第3位 日野昭雄(北海道)

2月号「凝視」

立木 ちょっと調べてみたら紋別市でもばん馬大会が開かれているようだけど、そこで活躍している馬なのかな。北海道らしく雪の中で白目がちな視線が強烈だよね。収まりよく顔のみをとらえたからこの目じゃなかったら作品としては弱かったかもね。
――周囲の雰囲気を入れる撮り方も見たいですね。
立木 ただこれだけ空が白いと雪のラインは目立たなかっただろうから、どっちとも言えないかな。馬を育てるのって大変だよ、しかも寒い北海道だしね。でもアマチュア写真家にとっては最高の被写体だから感謝して撮らせてもらおう。