第1位 近松晟夫(岐阜)

11月号 銀賞「暁の竹生島」
【選評】琵琶湖の湖面にせり出したソメイヨシノを、モルゲンロートのやわらかい光がピンク色に染めています。湖面を背景にして放射状に大きく咲いた桜と、遠くに浮かぶ竹生島が織りなす風景は、まるで日本画のよう。高画素のカメラでとらえた桜の花びらの繊細な質感は生命の息吹を感じさせ、春の訪れを告げる美しい瞬間です。
第2位 十良美千代(福井)

11月号 銀賞「姫に囲まれて」
【選評】石の間を幾筋もの流れが落ちる小さな滝を、ヒメレンゲが四方八方を囲むように可憐な姿で彩り、初夏の爽快感を演出。石の艶やかな光と、長秒露光で描いた流れる水の流れがヒメレンゲの緑を引き立て、奥行きを描いています。十良さんがこの場で感じた、みずみずしい生命感と静寂がバランスよく表現されています。
第3位 小川和幸(広島)

10月号銀賞「老木そびえ立つ」
【選評】新緑が萌え出る初夏の森。深い霧を通して、ブナの巨木をやわらかな光が包み込んでいます。樹齢を重ねたこの巨木は、無数のキノコを身にまとって共生し、生命の連鎖を物語っているようです。小川さんは森に佇むブナの巨木の圧倒的な存在感を広角レンズで描き出し、生命の営みと時の流れを感じさせる深遠な作品に仕上げています。
第4位 川井美代子(千葉)

11月号銀賞「輝く朝光」
【選評】霧を通した角度の低いやわらかな光が霧に反射し、オレンジ色に輝いています。地面から伸びる草のシルエットが奥行きを感じさせ、幻想的な世界へ誘います。葉のない冬枯れの木を放射状に伸ばす大胆な構図と、朝日を中央に配置した視線誘導、静寂な世界に生命の息吹を与える対比により冬の厳しさと美しさを同時に表現しています。
第5位 駒井秀紀(神奈川)

10月号銀賞「湖畔に佇む」
【選評】湖畔が雪で埋め尽くされている雪深い湖でしょうか。駒井さんはストロボを駆使して、湖畔に佇む木から大小の白いシャボン玉がフワフワと放たれたような、メルヘンチックな光景を表現しています。手前の枝と湖畔沿いの水面の境に、大小の玉ボケが入ったことで奥行きが描かれ、作品の価値を押し上げました。