第1位 尾内 泰(埼玉)

5月号 推薦「奇祭な面々」

【選評】古式ゆかしき祭りとはちょっと違うようです。変わったお面を集めた祭りだそうで、記憶にあるその姿と少しズレが生じます。そんな違和感をうまく表現できている作品です。三枚すべて正面からのカットでそろえ、表情の豊かさを強調した表現になっていますが、その魅せ方は三者三様に変化をうまくつけられました。中央のカットのみ実際の人間の顔を魅せた写真がアクセントとなってうまく効いていますが、人の顔のみではなく背景にさりげなく面を重ね、しっかりと統一感も取れています。語りすぎず変化も効いた、シンプルながら上手い作品構成です。組み合わせで旧作を生き返らせた、良い例になると思います。

ペンタックスK-5・タムロンAF18〜250ミリ・①F5.6・1/60秒②F6.3・1/125秒③F4.5・1/60秒・ISO400・エプソンPX-5V・エプソンフォトマット紙/鎌倉市・9月

第2位 辻 慶二(高知)

12月号 推薦「化身」

【選評】非常に力強い作品です。ファンタジーの物語のようなストーリー展開を重厚な空気感でまとめ上げました。組としてのリズムや展開も緻密に計算され、魅せる力を最大限に活かした表現になっています。一枚一枚の仕上げの重いトーンが作風にマッチしていて、シャドウをたっぷり使い、ほのかな光の存在感を見事に演出できています。闇夜に行われる秘めごと、そんなドラマを見ているような感覚になりました。しめ縄のカットが印象的で、あえて明るく写さず、深い闇夜を感じさせる仄暗い仕上げが効いています。巫女さんの表情もなんとも言えない雰囲気で写し出されています。すべてが一本にまとまった見事な作品です。

キヤノンEOS5D MarkⅡ・EF24〜105ミリ・①④⑤F4②③F5.6・① 1/800秒②③1/125秒④1/10秒⑤1/640秒・①ISO100②③ISO400④⑤ISO800・キヤノンPIXUS PRO-10S・キヤノン写真用紙光沢ゴールド/須崎市・9月下旬,14:00頃

第3位 内藤正太郎(神奈川)

4月号 特選「ふたりの思い出」

【選評】どんな光景にも写り続けるお二人はお友達とのこと。見る人にさまざまなドラマ、妄想を掻き立てさせる作品です。被写体の人物はシルエットかつバストアップという一見単調で限られた表現ながら、二人の動きに微妙な違いがあり、うまく変化とリズムをつけることができています。背景のダイナミックな変化も、二人でさまざまな場所と時間を過ごしたストーリーを感じさせます。色どりの変化も美しく、センターに持ってきた赤と黒のコントラストの効いたカットが鮮やかさを強く印象づけています。並びの妙も効いた作品になりました。

①ニコン1 V3・1ニッコール10〜30ミリ②③ニコンD700・AFニッコール24〜120ミリ・①F13オート・ISO400②③F11オート・ISO200・エプソンSC-PX5VⅡ・ピクトリコセミグロスペーパー/①東京都新宿区・9月上旬,14:00頃②東京都品川区・8月上旬,16:00頃③鎌倉市・10月中旬,17:00頃