第1位 城戸千代子(神奈川)

7月号 金賞「朝のプレリュード」

【選評】今回の金賞は、実に美しいモノクロプリントです。選評などでよく耳にする「階調の美しさ」「シャドー(暗部)とハイライト(明部)」「光の周り方・露出」「フレーミング」「構図」というものを知りたければ、ぜひともこの作品をお手本として研究してほしいくらいです。それにしても、良い時間帯に良い場所から撮影していますね。プリントも作品に合った用紙を選ばれていて好印象。上手さが光るレベルの高い一枚です。

第2位 村上弥生(大阪)

12月号 金賞「赤い目玉」

【選評】娘さんの愛らしい姿を収めた写真といえばそのとおりですが、私には「サクランボをどう印象的に写すことができるか?」をお題にアイデアを練り、工夫を重ねて撮られていると見えました。そう考えると、とてもセンスが良く、テクニックのある方だなと評価できます。作者はいつも娘さんの写真を応募されていますが、この一枚には今までの一線を越えるためのヒントがあります。生みの苦しみを経た傑作を。今後も期待しています。

第3位 亀田石生(和歌山)

3月号 金賞「雨の日」

【選評】何ともファンタジックな作品です。シャッターに描かれた絵を車の窓ガラス越しに撮影したそうですが、ピントが窓ガラスの雨粒に合っているからこそ、あいまいで幻想的な印象になっています。こうした判断も、亀田さんに「こういう写真にしたい」というきちんとしたイメージがあるからこそ。被写体を見つけたあと、瞬時に完成形をイメージし、撮影する……。それが上手い写真を撮る秘訣です。

第4位 五十嵐静夫(神奈川)

8月号 銀賞「星空の時計塔」

【選評】銀座の商業施設「和光」ですね。当然、空も建物もこんな色をしておらず、これは映り込みの力作です。タイトルの「星空」に見えるのはガラスの向こうの照明であり、これを星に見立てている辺り、センスが良いですね。映り込みのテクニックは、このようにガラスの表面とその奥の世界観に絶妙な関係性がなければ感動に至りません。五十嵐さんの上手さが光る一枚です。

第5位 齋藤圭子(三重)

9月号 金賞「紬・4歳」

【選評】遠くを見つめるまっすぐでキラキラした瞳にしっかりピントを合わせており、そして髪の毛の動きが何とも言えず素晴らしい。このドラマチックな瞬間を、見事に写真として収めています。撮影地がテーマパークとのことで、普通はそれらしき情報を盛り込もうとするところですが、齋藤さんはここで「そういう場所だからこそ生まれる孫娘の表情が主題」と考え、このフレーミングにしたのでしょう。自分の感性を信じられる人だからこその作品です。