第1位 亀岡芳雄(福島)

4月号 推薦「スター誕生」

【選評】透過光のようなSF的な光がどのような状況で生まれるのか、とても不思議です。混沌とした世界でありながら、おたまじゃくしが一匹だけすっきりとヌケていて引き締まっています。ミクロを凝視していながら、気がつくとマクロの視点に立っている。行きつ戻りつしながら発見に立ち会うような、そんな感覚に陥ります。(前川)

第2位 青木幸子(埼玉)

11月号 推薦「モンスター」

【選評】雨上がりでしょうか。水滴をまとったクモの巣が美しく広がり、その奥に待ち構える主の存在感が抜群だなあ。目を凝らしてみれば、身近なところにこんなにもおどろおどろしく、神々しい世界が存在している。カメラを持ち、シャッターを切ることで、これまで見えなかったものが見えてくる。写真の醍醐味を教えてくれます。(前川)

第3位 歌川敏美(福島)

8月号 推薦「幻想桜」

【選評】なんとも妖艶で、幻想的な光景でしょう。模様までも描写された雲間から覗く満月が印象的です。垂れこめた黒い雲さえも味方につけたような、怪しげな雰囲気に引き込まれました。雪山に沈む満月と日の出前の一瞬の時間帯、青く色被りした桜の咲く斜面に白い花木がぽつんと一本目立ちます。濃厚な色合いで見事に春の妖艶さを表現されました。(岡本)

第4位 村田一史(山梨)

10月号 推薦「リズム」

【選評】どんな状況で撮ったのだろうと、想像が膨らみました。キラキラとした玉ボケが画面いっぱいに広がっていて、そのなかに小さなクモをシルエットで写すことで、生態をとらえた作品とは全く異なる幻想的な作品に仕上がりました。主役よりも背景に広がる玉ボケを多く取り入れた、大胆な作画も破壊的な魅力がありました。
(岡本)

第5位 藤岡裕子(千葉)

4月号 特選「静寂の中の一羽」

【選評】そびえ立つ大きな岩をベースに、主役のカモメとおぼろ月が絶妙に組み合わさったことで、スケールの大きな作品となっています。手前の岩や左右を切るように、もう少し寄ってもいいと思います。しかし、ありふれたカモメなんて言葉にしてはいけませんね。目の付け所とチャンスがあれば、こんなに素敵な写真になるのですから。(前川)