20代で写真を楽しんでいる人たちはどのような写真生活を送っているのか。SNSなど、本誌読者とは少し違ったフィールドで活躍する若者たちに迫る。
登場した人に、次の人を紹介してもらうリレー形式で行っていく。

第5回 長尾岬生(@naagaoshi)

写真歴 : 5年
1995年、石川県生まれ。19歳の頃より風景を 撮るようになり、特に広角レンズを使った自然 風景にのめり込む。デジタル写真の可能性を 追求し、己の創造性を深く表現するため日々活 動している。
Webサイト●https://nagaoshi.com
 
所有機材:ニコンD750

霞の中から姿を見せる劒岳。朝焼けに燃える雲をバックに映えるその姿は言葉を失うほどかっこいい。川の浅瀬に空の色が映り込み、まるで撮って くれといわんばかりの風景だった。

写真をはじめたきっかけは?

就職し車を手に入れ、遠出できる機会を得たのでカメラを購入。はじめは近所や旅行での撮影など、ライトなスタイルでしたが、Twitterをやるようになり、そこにある自分とは違う写真の数々に驚きました。「どうやって撮るんだろう?」と調べていたら現像ソフトというものの存在に行き着き、独学で勉強していくうちにどんどんのめりこんでいきました。今では四六時中写真のことばかりを考えています。

なぜ写真にハマるのか

小さいころから森や自然をながめているのが好きで、自然に触れることが癒しでした。メインの被写体は自然風景で、それがルーツになっています。美しい景色をカメラで写し、レタッチでその美しさをさらに引き出していく、デジタル写真の醍醐味ともいえるこの作業がたまらなく好きです。1人で過ごす時間も大切にしているので、写真はそこも魅力です。風景は裏切らないですし(笑)。

目指しているスタイルは?

海外の写真が好きで、外国人の写真家にかなり影響を受けています。レタッチにしても撮影にしても、「こうしなきゃダメ」みたいな固定観念はなく、頭の中にあるイメージを素直にアウトプットできる外国人の自由な作風が好きです。レンズの描写やボケ、写実性などに縛られずにいたい。思わず感情が起伏してしまうような、心を動かす写真を目指しています。

自分の写真の強み、こだわりは?

1つは光のとらえ方。例えば写真の構図の中の奥の光源から手前の岩に当たる光の加減など、立体的に細かい部分まで意識し、時には数時間「光待ち」することもあります。2つめは前景・中景・遠景を突き詰めること。奥行きや視線の誘導など、画面の中でかなり重要な役割りを持っていると思います。イメージを作ってから撮影場所を探すようにしていますが、その2点を特に考えています。

東京カメラ部10選2018に選出、今後の目標は?

100点満点の絶景を見た通りに100点で撮り続けることを求めています。正直、まだ自分の中の理想と比べると30パーセントくらいしか納得できていません。常に“何かが足りない”と感じていて、100になるためにはどうすればいいか、まだまだ伸びしろを感じワクワクしています。また、10選になったことを機に、特に若い人たちへ自分の写真に対する考え方をもっと広めて行きたいと思っています。