50年以上にわたって80回以上、オリンピックなど海外のスポーツを被写体に写真を撮り続けてきた著者が、折りに触れて綴ったエッセイ集。
アンネ・フランクの日記から導かれる戦争への思い、経験や実感に裏打ちされたステレオタイプを排する写真の考え方、アメリカの黒人差別とそれへの挑戦などを語りながら、著者はしかし声高に主張をすることはない。
おだやかな語り口でありながら、著者はひとへの深い共感や当事者の人々の等身大の在り方への理解を自身の方法にして、非戦の考え方、写真の本質、本来のオリンピック精神などを導き出している。
目次より
1. 大人はわかっていない (アンネ・フランク、野見山暁治、戦争の話)
2. 分別の先にあるもの (写真と文学の話)
3. オリンピック、スポーツ、そして海外の人びと