ふるさとの風物詩三部作が完結
ふるさとの風物を記録して本に遺したい
そんな思いから地元・信州諏訪地方の寒天工場を記録し、地域の一大産業だった蚕糸を取材、そして最後には「凍り豆腐」を選んだ。
この地域における冬の風物詩が、時代の流れの中で大きく変遷を遂げている中、地元の写真家がやらなければと、足繁く通い、一冊の写真集としてまとめた。
標高千百五十メートルに位置する湖東笹原地区にある「千年豆腐蓼科手造り豆腐工房」では信州の冬の名産品「凍り豆腐」を生産している。
夜明け前から始まる作業は、八ヶ岳連峰からくる、氷点下10℃前後の寒気の様子を見ながら行う。
「凍り豆腐」の行商人が家々を訪れては一連二連と置いていった子どもの頃の記憶。その思い出と懐かしい味は、脈々と地域に残り、伝えられている。