捕手論。
梨田昌孝 / 伊東勤 / 西山秀二 / 野口寿浩 / 鶴岡慎也
名捕手あるところに覇権あり
日本野球では捕手がサインを出さなければ野球は始まらない。
かの故・野村克也捕手には確固たる持論があった。「リードなり配球とは、1つを意識させておいて、もう1つへの意識を稀薄にさせることにある。それは『1ペア単位』で4つある。内外角、高低、緩急 、ボール・ストライクだ」。
「アメリカ野球は早いカウントではストレート系で入り、微妙に動く変化球で打ち取る。一方、日本野球は初球を変化球系で入り、3ボールでも変化球を投じる」。
つまり、メジャーでは投手が投げなければ試合は始まらないが、日本では捕手がサインを出さなければ野球は始まらない。アメリカの「ベースボール」と日本の「野球」の文化の大いなる「相違点」である。
「力勝負」のメジャーリーグに対して、日本には「考える野球」の楽しさがある。日本では「名捕手あるところに覇権あり」と言われて久しく、「捕手論」は実に奥深い。
「リード(配球)」「キャッチング、フレーミング(捕球)」「ブロッキング(止める)」「ス
ローイング(二塁送球)」、そして「バッティング(打撃)」の5要素を、「名捕手」と呼ば
れたレジェンドたちはどう考えているのだろうか。
複数捕手の技術を掲載した贅沢な書籍は本邦初。しかも、この5人には密接な関係がある。
「捕手の技術書」というだけではなく、読み物としても「野球人間模様」を楽しんでいただけるはずだ。
CONTENTS
- はじめに
- 捕手論1 梨田昌孝 「リードには「定義」がある
- 捕手論2 伊藤 勤 「NOW(軸になる球種)」を考える
- 捕手論3 西山秀二 見えない「打者の心理」を見る
- 捕手論4 野口寿浩 「球種の数」だけ、決め球がある
- 捕手論5 鶴岡慎也 ストレートを「どこで」使うか